准教授 木本 晃 (KIMOTO Akira)
E-mail:kimotoa [at] cc.saga-u.ac.jp (メールアドレスは [at] を@に変更してください)
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専門分野: | 医用システム,計測工学 |
所属学会: | IEEE,電気学会,計測自動制御学会 |
センサ(自然現象をはじめとして様々な対象に関する情報を人間や機械が扱いやすい信号に変換する)は,日常生活には欠くことのできない重要なものであります.本研究では,社会に役立つ新しいセンサやセンシングシステムを開発し,社会に貢献することを目指しております.現在行っている代表的な研究開発を以下に示します.
乳がんチェックセンサの開発
がんの早期発見のためには定期的な検診が必要であります.乳がんの検診は一般にマンモグラフィ―により行われています.しかしながら,装置が大掛かりであることや被ばくなどの問題があります.そこで本研究では,超音波画像と電気インピーダンス画像を同時に測定し,それらを融合した新しいセンシングシステムを提案し,乳がん診断への応用を目指しています.現在,超音波プローブをもとにした積層型センサを開発し,研究を進めております.本システムの開発により簡便でかつ安全な診断が可能になります.
図1 提案センサ
肌状態診断センサの開発
肌は,外界からの有害な刺激から内臓や組織などを守る臓器と言われております.よって,肌の状態を正常に保つことが重要です.そのためには肌の状態をセンシングし,診断する必要があります.現在,様々なセンサが開発されておりますが,肌の状態を正確に測定するのは十分ではありません.本研究では,肌のもっとも表層にあたる角層の保湿状態を正確にモニタリングすると同時に肌の柔らかさをセンシングする新しいセンサの開発を行っております.現在,ハンディタイプのセンサ(1号機)を開発し,実用化を目指しております.また,非接触型のセンサやウエアラブル型のセンサの開発を行っています.将来的には,本センシング手法をヒトの感性工学などへ展開したいと考えております.
図2 ハンディタイプセンサによる肌測定
筋活動解析システムの開発
スポーツ医学やリハビリテーションにおいては筋活動を詳細に把握することが重要である.本研究では,運動中に筋活動から得られる筋の活動電位,微細振動,酸素動態(酸素化,脱酸素化ヘモグロビンの変化)を同時かつ簡便な形でのセンシングを可能とする新しいセンサを開発しております.現在,開発したセンサにより,筋活動測定を行っております.将来的には,ウエアラブル化により,運動中のリアルタイム筋活動測定へと展開する予定です.
図3 提案センサによる筋活動測定
2022年度 JKA 補助事業成果
本研究では、2022年度公益財団法人JKAの補助事業として、「局所筋活動評価のためのウエアラブル積層型センサの開発と評価 補助事業」に関する研究を実施しました。
研究背景と目的
Society5.0時代のヘルスケアの実現に向けて、「人中心の社会」として健康寿命の延伸が検討されている。健康寿命延伸のための1つとして、適度な身体活動・運動が推進されている。そのためには、適度な活動・運動量を評価することが必要である。また、アスリートなどのトレーニングおいても、故障の予防や適切なトレーニングの評価のため定量的な評価が必要である。よって、局所的な筋活動量を定量的に評価し、適切な運動を行うシステムの確立が必要である。本研究の目的は、局所筋疲労を含めた筋活動解析を可能とするセンサを開発することである。これまでに、筋活動により生じる筋電図(EMG)、筋音図(MMG)及び酸素動態の近赤外分光 (NIRS)の3つの異なるパラメータの測定を可能とするEMG、MMG及びNIRS積層型センサを開発した。本研究では、開発したセンサにより、実際にエルゴメータによる運動下での局所筋活動を測定し、市販の呼気ガスセンサによる測定値と比較することで局所筋疲労を含めた筋活動評価の可能性を検証する。さらに、実用化に向けたセンサシステムの小型化を図り、その有用性を評価することである。
研究助成
以下の機関より研究費助成事業の支援を受けて研究を推進しております.


